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2020-11-15 10:22:00
母乳と薬について
本日は、授乳と薬についてお話しします。
お産後に、体調を崩し、お薬を飲みたいことがありますよね。お薬によっては、母乳に移行するため、注意が必要なものがあります。
市販のお薬では、添付文章などに、ほとんどの場合、「授乳中はお控えください」「医師に相談してください」などと記載があります。飲んだ後に、「授乳中はダメって書いてある!どうしよう」なんてこともありますよね。
でも、薬によっては、本当は大丈夫だけど、よくわからないから、やめておきましょう。といった事もあります。ですので、「辛いけど、薬を飲むと母乳をあげられなくなるから、自分が耐えよう。」「薬を飲んじゃったから、母乳はやめておこう。」などと考える前に、きちんと調べて、対処法を知っていて欲しいのです。
薬剤がママの体内で代謝された後、母乳中に移行しやすいかは、いろいろな因子があります。
一つ一つは難しいですが、この薬、飲んでいいのかな?と思った時は、便利で安心できるサイトがあります。私も、ママたちから質問があった場合は、参考にさせていただいています。
・成育医療研究センター https://www.ncchd.go.jp/kusuri/news_med/druglist.html
・大分県「母乳と薬剤」研究会 http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf
・愛知県薬剤師会 https://www.achmc.pref.aichi.jp/sector/hoken/information/pdf/drugtaioutebikikaitei%20.pdf
悩む場合や、授乳は勧められないと書いてある薬を飲んでしまった場合、
お薬には半減期というものがあり、血中濃度が下がれば、母乳中への移行も低下します。通常、半減期の5倍の時間が経てば、体内から消失すると考えられます。血中濃度が下がっている場合、赤ちゃんに飲ませる前に、1回搾乳をして捨てるなどの対応はいりません。おっぱいが張って痛いなどの場合は、張りが軽くなる程度に搾乳しましょう。
かかりつけの病院に相談する場合も、母乳とお薬の関係に詳しい病院でなければ、授乳を控えてくださいと言われることがあります。自分は体調が悪いのに、授乳ができなくて、おっぱいは張るし、赤ちゃんは大泣きして、哺乳瓶でミルクも飲まない。そんなことにならないように、自分でも調べてから、医師や薬剤師、助産師に相談してみるといいかもしれません。
赤ちゃんに影響がある薬剤としては、ママが飲むと眠くなる薬(リン酸コデイン、抗うつ薬、抗不安薬など)、ママの持病などで代謝を抑える薬(甲状腺や脂質代謝のお薬、抗癌剤など)がありますので、妊娠中から、担当の医師に相談し、母乳をあげることができないのか、他のお薬に変更できないか、お薬を飲んだ後、時間を開けて授乳をするなどの対処法を相談してみましょう。
分娩後に通常使用されている鎮痛剤や抗生剤は、母乳中にはわずかな量しか移行せず、問題ないとされています。抗ヒスタミン剤などで、鎮静効果が強いものは避けたほうが良いでしょう。
無痛分娩や会陰切開で使用される麻酔薬も、ほとんどの場合、授乳に問題はなく、産後すぐは乳汁の分泌量も少ないため、問題ないと考えられています。
私が助産師新人時代は、ママは会陰切開の痛みや後陣痛があっても、ロキソニンは母乳に移行するからだめというのが常識でした。しかし、現在では、母乳中への移行量はほんのわずかで、影響が少ないため、産後の鎮痛剤にロキソニンが使用されるのが当たり前になっています。
今は、きちんとした研究が進んでおり、それが簡単にインターネットで閲覧できます。
情報源が確かな、信頼できるサイトから、情報を得て、ママも安心してお薬を飲み、授乳ができるといいですね。