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2024-11-21 22:51:00
赤ちゃんの黄疸って、何ですか?
赤ちゃんの黄疸って、何ですか?
治療が必要と言われました、大丈夫かな?
赤ちゃんが産まれて、2〜3日して、病院のスタッフから、「赤ちゃんの黄疸が強いです。」「治療が必要です。」などと言われることがあります。
黄疸とは、ビリルビンと呼ばれる物質が、赤ちゃんに蓄積して、高ビリルビン血症になっている状態を指します。ビリルビンという物質は、尿や便に色をつけている黄色い色素です。黄疸が強くなると、皮膚や目の白いところが、黄色くなります。
ビリルビンは、血液の成分である、赤血球が破壊されることにより生成されます。赤ちゃんは、産まれてから、ママのお腹の中で使用していた多くの赤血球を壊します。ビリルビンは肝臓で代謝され、排泄される形に変化しますが、代謝する能力が未熟なため、生後2〜3日から黄疸が強くなり、改善するのに2週間ほどかかります。ですので、赤ちゃんに黄疸が出るのは、自然なことで、これを「生理的黄疸」といいます。特に日本人は、白人に比べて黄疸が出やすく、ビリルビンの値も約2倍ほどになります。
何らかの原因で、ビリルビンが多く産生されたり、代謝ができない状態があると、ビリルビンが蓄積し、「核黄疸」と言って、脳を損傷してしまう恐れがあるため、大事に至る前段階で、治療を開始します。
治療には、赤ちゃんに特別な光線を当てる「光線療法」というものが用いられます。光線を当てることで、ビリルビンを代謝しやすい形に変換して、体外への排泄を促します。光は、赤ちゃんに無害であり、通常であれば、1日治療をすることで、ビリルビンの値が正常化してきます。光を効率的に当てるため、赤ちゃんは温度管理された部屋で、おむつのみの状態になります。光を見る習性があるため、目にはアイマスクが当てられます。
また、ビリルビンは、尿や便で体外へ排泄されますが、ビリルビンが腸内に滞ると、腸管循環が起こり、再度肝臓に戻ったりして、効率的に治療ができません。黄疸が強い場合は、赤ちゃんが飲む量を少し増やしたり、肛門刺激をして、便の排泄を促すということを行います。病院によっては、母乳を中断してミルクにしましょうと言われることがあるかもしれませんが、通常の光線療法管理で治療ができる程度の黄疸であれば、一回30分程度、光の治療を中断して母乳を与えても、ミルクに置き換えて治療を行った児と比較して、治療効果に差がないとの研究結果もあります。母乳をうまく飲みとれていない場合は、余裕があれば、搾乳をしましょう。
赤ちゃんが、治療をするとなると、ママはすごく心配になると思います。黄疸のチェックをきちんとしてくれて、毎日、黄疸は大丈夫だったのか、話してくれる施設であれば、安心して大丈夫です。ほとんどの施設では、「ミノルタ計」と言われる、皮膚の色で黄疸のチェックをする機械で黄疸をチェックし、基準よりも高い場合は、採血を行い、ビリルビンの値を計測しています。早めの対応が行われれば、ほとんどの場合は、光線療法のみで治療は終了します。大切なことは、早めの対応、よく飲み、よく排泄することです。
「病院では、毎日、チェックしてたから安心だけど、家に帰ったら心配。」
「母乳をあげていたら、母乳性の黄疸が出ると言われて、確かにずっと黄色いけど大丈夫
かな?」
ということもあると思います。
黄疸が強くなっているときは、
①皮膚や目の白いところの黄色身が強くなる
②ぐったりしていて、おっぱいをあまり飲まない
③なんとなく元気がない
④落陽減少(眼球の黒目が、太陽が沈むように下の方に沈んでいく)がある
⑤反り返るような動きをする
このような症状がある場合は、小児科に連絡をして、受診をしましょう。
母乳性の遷延性の黄疸もよく見られます。本当に黄色くなるので、ママは母乳が足りていないのかな?母乳だけで大丈夫かな?と心配になると思います。母乳をよく飲み、排泄もしっかりある場合は、基本的には問題ないですが、心配な場合は、一度、赤ちゃんの黄疸のチェックや体重をチェックしてもらうと安心です。問題ない場合でも2ヶ月ほど黄色身が強いままの赤ちゃんもいます。便の色が白いなどあれば、黄疸が長引く、他の原因があるかもしれませんので、便を持って、小児科を受診しましょう。
2024-03-03 16:56:00
臍帯血(さいたいけつ)って何?保存した方が保存した方がいいの?
臍帯血(さいたいけつ)ってなに?保存した方がいいの?
妊娠して、妊婦健診に行ったり、育児本などを読んだりすると、臍帯血というのも目にすることも多いかと思います。
臍帯血とは、妊娠中に、ママと赤ちゃんを繋いでいる、臍の緒から得られる血液のことです。
赤ちゃんは、ママのお腹の中で、胎盤を通して、酸素や栄養をもらいます。胎盤と赤ちゃんを繋いでいるのが臍の緒で、医療用語では臍帯といいます。臍帯の中には、血管があり、ママからの栄養を赤ちゃんに送って、赤ちゃんが栄養や酸素を使用した後に、臍の緒を通して血液がまたママに戻るシステムになっています。
一般的には、分娩時の赤ちゃんの状態を評価する検査のために使用されますが、臍帯血には、幹細胞が豊富に含まれているため、臍帯血や臍帯を保存することで、将来、赤ちゃんや家族に起きるかもしれない病気の治療ができる可能性があるのです。
今回は、ママからもよく質問がある、臍帯血の保存についてお話ししたいと思います。
臍帯血を保存するメリットとしては、
①臍帯血を利用した、治療を受けることができる
②型が適合すれば、家族にも利用ができる
③研究が進んでいる分野で、再生医療として、さまざまな可能性がある
デメリットとしては、
①保管の費用が高額
②使用する確率が低い
などでしょうか。臍帯血の分野で、研究が進んでいる疾患や、現段階で治療として用いられているものに関しては、日本で唯一の民間バンク、「stemcell:ステムセル研究所(https://www.stemcell.co.jp/)」のホームページをご覧ください。
お産の時に、その時にしかチャンスがないため、悩む方も多いと思います。
皆さんは、医療保険や生命保険などに、何かあった時の備えとして、入っている方も多いと思います。
それと同様で、何かあった時の備えとして、臍帯血を保管するという考え方や、これからの再生医療の発展に期待して、保存するという考え方などがあると思います。
一般的には、脳性麻痺や自閉症の治療に使用されたり、海外では、慢性疾患などにも使用されてい流ようです。現在では、幹細胞を増殖させたものを使用して、美容医療などにも使用でき、可能性は無限大だなと感じました。
臍帯血は、赤ちゃんが産まれた後、すぐに採取されるため、緊急時や、出血が多いなど、お産の状況によっては、採れない事もあります。説明をよく聞いて、納得してからお申し込みくださいね。
2023-10-17 23:20:00
卒乳・断乳について
急に寒くなり、体調を崩したりしやすい時期ですね。
季節の変わり目は、乳房トラブルが多く、乳腺炎で受診する方も増えてきます。
今日は、断乳・卒乳のお話をしたいと思います。
文字通り、断乳は、突然乳を止める事で、ママが病気になったり、子供が病気になったり、
仕事復帰や保育園入園など、様々な理由があると思います。
卒乳は、子供の成長に合わせて、離乳食が進み、歩いたり、他に興味が出てくることで、母乳を自然に飲まなくなるのを待って、子供主体でおっぱいを卒業することです。
厚生労働省からは、授乳・離乳の支援ガイドも出ています。参考にされてください。
やっと卒業!と思うママもいれば、不本意に、母乳をやめなければならない方もいるでしょう。
沢山母乳を作ってくれたおっぱいと、沢山飲んでくれた赤ちゃんに感謝しながら、おっぱい卒業をしていきましょう。
今は、働くママも多いので、計画的に授乳をやめる方が多いように思います。
計画的に授乳をやめていく場合は、以下の点に注意が必要です。
①季節の変わり目や、梅雨時期・真夏などを避け、気候の良い時期を選びましょう。
②予防接種や旅行、パパの出張など、家族の予定と重ならない時を選びましょう。
③授乳回数が多い場合は、2~3回/日までは授乳を減らし、夜中の授乳は控えましょう。
④離乳食がすすんで、1日3回食となっている時期が良いでしょう。
⑤しっかりと歩き、外遊びができる時期が良いでしょう。
断乳にしても、卒乳にしても、ママの対応としては、
①食事の内容によって、乳腺が詰まりやすいなどのエビデンスはありませんが、乳房が張りやすくなると感じる食事や、カロリーの高い食事は避けておきましょう。
②なるべく乳房は触らないようにして、乳房の緊満が出てきた場合には、圧抜き程度に搾乳をしましょう(圧抜きの方法参照)。搾乳する頻度や量を徐々に減らしていき、冷罨法を実施しても良いです。
③授乳をやめる、または、搾乳をやめた後、3日後、少し搾って見てください。まだ、母乳が出ると思います。1週間ほどしたら、また、ほんの少し搾る。2週間後、ほとんど出なくなっているはずです。黄色く、ネバネバした乳汁が分泌されてくると思いますので、少し搾り出したら、終了です。
搾り出しをしないと、次の子供の時に、古いおっぱいが出るとか、癌になるとか言われましたと聞くこともありますが、分泌物は吸収され、癌化するなどのエビデンスはありません。
分泌を止める過程で、乳房のしこりや緊満が強く熱が出るなどあれば、専門家に相談をしにいきましょう。
お子さん対応としては、
①授乳回数を減らした分は、水分をしっかり与えましょう。
②子供はいつも授乳している場所を覚えるので、固定した場所があれば、座らないようにしましょう。
③子供がおっぱいを欲しがる前に、栄養のあるおやつを与えたり、本を読む、外に連れ出して遊ぶなど、気をそらしてみたり、パパに食事を与えてもらうなど、周りの協力を得ましょう。
④2~3歳の子供には、もうすぐおっぱいとはなれることを言い聞かせてみましょう。「おっぱいバイバイ」と言って余計に吸ってくるかもしれませんが、その時は十分に与えて、おっぱいを止める日を決めましょう。
⑤授乳をやめた後でも、おっぱいをみると欲しがるので、お風呂はパパと一緒にはいるようにしましょう。
うまくいけば、自然におっぱいを欲しがらなくなりますが、夜泣きや後追い、物への執着、噛みつきなど、いままで起こらなかった兆候が見られる場合は、卒乳が早すぎるというサインかもしれません。ゆっくりと、その子のペースで進めるようにしましょう。
動物として、哺乳類の観点からすると、人間の母乳育児の期間は2年間は必要とされています。赤ちゃんの成長や、ライフプランに合わせて、どのようにするのがいいのか、悩む時は、専門家に相談してみましょう。
2023-09-27 23:49:00
母乳分泌過多のママへのお話
母乳分泌過多のママへのお話し
おっぱいが出なくて、困るというママと、おっぱいが出過ぎて困るというママがいます。
本来であれば、赤ちゃんが欲しがるときに、欲しがるだけあげていて、自然に過ごしていれば、調整されてくるモノですが、様々な理由もあって、母乳の出が少なかったり、多すぎたりすることがあり、今回は、母乳が出過ぎて困るママへのお話です。
一人目の時に、それが辛くて、二人目は母乳を諦めますというママもいるくらい、ママにとって、生活を脅かすほどのことなのです。
しかし、これは、予防できたり、うまくいけば通常の分泌に戻るものですので、諦めずに、専門家に相談しながら、母乳育児を続けてもらえると、ママにも赤ちゃんにもいいことですね。
ママによっては、産後3~5日で、平均の3倍ほどの母乳が出る方もいます。乳房が充満してくる時期に、赤ちゃんが飲みづらかったり、乳房が痛くて、飲ませる前や後に、搾乳をすることで、さらに分泌が促されて、それを毎回繰り返していると、分泌過多になってしまいます。赤ちゃんが飲み取れなくて、必要な分を搾乳するのであれば良いですが、赤ちゃんがちゃんと母乳を飲み取れているのに、必要以上に搾乳し続けると、二人分くらいの母乳を作ることになり、ママの栄養がどんどん出ていってしまいます。また、家でも一日中、授乳や搾乳をしなければならなくなったり、外出先でも搾乳しないと洋服がびちょびちょになったりと、大変です。分泌が増えすぎた後に、搾乳をしないことが続いたりすると、乳腺炎になってしまって高熱を出して。。。と、心身ともに疲弊してしまいます。
まずは、
①出生後に、授乳を開始して、赤ちゃんが欲しがる時に、欲しがるだけ、授乳をするというスタイルで、授乳を開始する。
②産後2~3日で分泌が少しずつ増えてきて、乳房が充満してきますので積極的に授乳をしてください。乳房の緊満が強い場合に、病院で、搾乳を勧められることもあると思います。病院の助産師さんのお話も聞きながら、母乳に詳しい方に相談するのがお勧めです。
③それでも緊満が取れない場合は、自分でできる対処法として、授乳前の乳房のマッサージと、乳頭の浮腫みとり(RPS法)です。緊満が強く、搾乳したい場合は、緊満が少しほぐれる程度、痛くて辛い時のみにしましょう。
すでに、分泌過多になっている場合は、
・前搾乳など搾乳を常習的にしている場合は、中止して、赤ちゃんの欲しがるサインに合わせて授乳をし、片方の授乳で寝てしまっても、もう片方の搾乳はしない、緊満が強い場合は、軽くなるくらいにしておきましょう。
・分泌が多すぎて、赤ちゃんが飲むときにむせたり、嫌がったりする場合は、リクライニングの姿勢で授乳するなども効果的です。
・ブロック授乳をする。
方法は、片方(右)のおっぱいがスッキリするまで、右だけしっかり授乳をして、寝せる。その後、2時間以内に起きたら、また右のおっぱいを飲ませる。2時間以上経っていたら、左のおっぱいを飲ませる。という形で、母乳が乳房内に溜まっていると母乳のタンパク質が自ら分泌を抑えるという効果を利用するものです。
少し慣れてきたら、3時間、4時間と片方のおっぱいを触らない時間を長くしていき、分泌が落ち着いてきたら、いつも通りの授乳に戻してください。
ブロック授乳をする過程で、乳腺炎の症状などでれば、搾乳や授乳をいつも通りに戻して、体調が良い時に、再トライするか、専門家に相談に行きましょう。
2022-07-02 17:15:00
ミルクの減らし方
退院して、1ヶ月までのママとお話をしていると、
・退院の時に、ミルクを足すように言われたから、3時間ごとにミルクを足している
・黄疸が強いと言われたから、怖くてミルクを足している
などと、ミルクが必要か分からないけど、とりあえず、ミルクを足しているという方によく遭遇します。
哺乳瓶でミルクを与えていると、どれくらい飲んだというのがわかるので、安心感には繋がりますよね。気持ちはよくわかります。
母乳をどれくらい飲めているのか、簡単にわかれば良いのですが、現状では、哺乳の前後に体重を測定したり、ママの乳房の感覚などで評価をせざるを得ません。
母乳の量は一定ではありませんし、赤ちゃんの飲み方や消化も一定ではありません。
病院を退院するときに、母乳の量が足りなくても、母乳を与え続けていれば、母乳量は少しずつ増えてくるものです。劇的に増えることもあります。
そこで、今回は、病院を退院後のミルクの量についてお話ししようと思います。
一般的に、正期産(妊娠37週〜41週)と呼ばれる週数で出生し、特に問題のない赤ちゃんでは、
生後1週間までは 生後日数✖️10ml(+10ml)が1回量でtotal 300〜500ml/日程度。
生後2週間までは 1回量は60〜100mlでtotal 450〜650ml/日程度。
生後3週間〜1ヶ月出は 1回量80〜100mlで total 600〜850ml/日程度。
体重や赤ちゃんによって消化の能力が違うため、一概には言えませんが、必要量は上記のようになっています。
母乳が必要な量出ていれば、ミルクは足さなくても大丈夫ですが、少し足りない場合は、ミルクを足すか、母乳の回数を増やすことで、1日のtotal量を稼ぐ必要があるわけです。
母乳を飲めているサイン
・授乳中、嚥下音(コクコクなど飲み込んでいるような音)が聞こえる
・排泄がしっかりとある(排尿6回以上、排便1回以上)
・飲んだ後に、満足そうにして寝ている(寝ない時があっても、安定して寝てくれる時があればOK)
母乳を飲めてきているのではないかな?と感じたら、ミルクの量を調整していきましょう。
ミルクの減らし方
母乳の量が増えてくれば、次のような症状があります(症状は個人差があります)。
・赤ちゃんが片方のおっぱいを飲んでいる間に、反対側からも母乳が漏れ出てくる
・排泄の量が多くなる。尿の量が多い、水っぽい便を何度もする
・横に寝かせると、溢乳(少量の吐き戻し)が続く
・授乳中に、乳房がジンジンしたり、つーんとしてくるような感覚がある
まずは、母乳を飲ませて寝るようであれば、一度寝せてみて、1〜2時間で起きるとは思いますが、起きたらまた母乳。その後に、ミルクを足すような形で、母乳の回数を増やし、ミルクの回数を少しずつ減らしてみましょう。
母乳だけでは寝ない赤ちゃんであれば、母乳の後のミルクの1回量を少し減らして、母乳の回数を増やしてみましょう。2日位して、赤ちゃんの機嫌や、排泄の量があまり変わらないのであれば、また、少し減らすの繰り返しをしてみましょう(ミルクを60ml足していたのであれば、50、40、30というふうに)。
減らしていく中で、赤ちゃんが全く寝なくなったり、排泄が減ってきたりするようであれば、ミルクの量は減らさずに、元に戻します。無理は禁物です。
母乳をあげたいと思う気持ちで、ママが頑張りすぎて、キツくなってしまったり、なかなか、母乳の量が増えずに悩む場合は、近くの助産師さんに相談してみましょう。
コロナで、通うのも厳しい場合は、助産師会などではオンラインでも相談窓口があります。利用してみましょう。