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2022-06-21 20:19:00
母乳のみ?混合栄養?どっちがいいの?
久しぶりの投稿で、すみません。
まだまだ、コロナで心配な中、いかがお過ごしでしょうか?
今回は、母乳のみと、混合栄養とどちらがいいの?というお話しをさせていただきたいと思います。
母乳育児を行う中で、「母乳のみで育てたい」「ミルクと混合で育てたい」
など、皆さんの置かれている状況はそれぞれなので、考えていることは様々だと思います。
上の子がいる、サポート者がいない、仕事復帰が早いなど、事情は様々ですが、
日頃、ママと接する中で、母乳が出れば、母乳で育てたいけど、あまり無理はしたくないという方が多い気がします。
混合栄養の方法としては、
・母乳の後に、ミルクを毎回あげる
・夜や人手がある時にミルクをあげてもらう
・夜、まとまって寝たい時にミルクを追加する
などです。
母乳のみにした場合の、ママからよく聞く悩み
・授乳時間(どうしても、母乳のみの方が、授乳時間は長い傾向にあります。でも、自分でミルクを準備して片付けをした場合、そんなに変わらないのかも?)
・赤ちゃんが哺乳瓶をうけつけなくなると、預けられなくなる
・赤ちゃんが、自分じゃないとダメになる
などです。
母乳栄養の利点については、赤ちゃん側とママ側の方面から、過去のpostをご覧ください。
今や、様々な情報をネットから得ている人が多い時代です。混合栄養を選ぶ理由として、母乳の量が足りない場合は、もちろんですが、ミルクの方が赤ちゃんが寝てくれるという意見をみて、赤ちゃんに寝て欲しいからという意見も聞かれます。
産後の辛かったことの上位に上がってくるのは、睡眠不足です。
ミルクは牛の乳からできていますので、それを消化するのに3時間ほどかかります。母乳は、消化がいいので、1時間半ほどで消化します。
ですので、腹持ちのいいミルクをあげて、赤ちゃんにしっかり寝てもらうという考えです。
しかし、産後の睡眠を調査した文献では、夜間、母乳育児をした母親の方が、平均40分睡眠時間が長かったとのデータも出ています。
夜、サポートしてくれる人が、ミルクを作って、あげてくれるなどのサポートがあれば別ですが、
キッチンでミルクを作って、ミルクを飲ませて片付けまで自分でしていると、睡眠のリズムが崩れてしまいがちです。
母乳育児を勧める病院で、母児同室を推奨しているのは、初めに、頻回授乳をすると、母乳がよく出るようになることはもちろん、赤ちゃんとの生活リズムをつかんで、睡眠のリズムを同調させることができるからです。
授乳の時に分泌されるオキシトシンは、睡眠の質を向上させる作用もありますので、授乳後は、スムーズに睡眠に戻れたという方も多いです。
コロナ禍では、リモートワークが進み、育児のサポート者は、実母よりも夫となる場合も多く、夫にミルクを飲ませてもらいたいから、哺乳瓶に慣れてほしいという方もいるでしょう。
でも、育児は、授乳だけではないですよね。寝かしつけや、オムツ替え、離乳食が始まれば、食事を上げることもお願い出来ます。
母乳がメインの方では、赤ちゃんも1ヶ月くらいまでは、哺乳瓶でも飲みますが、2ヶ月くらいになると、口腔内の発達や、味や温度、触覚の違いから哺乳瓶を全く受け付けなくなることがあります。実際に、赤ちゃんが自分だけしか受けつけなくなるのが辛かったという経産婦さんは、多いです。
ミルクをあげるタイミングは、その家庭によって様々ですが、
上の子が家にいない時間帯は母乳を長く飲ませてあげて、上の子が帰ってきてからは、授乳に時間が取れないのであれば授乳後に、ミルクをあげて、赤ちゃんを寝せたり、
夜にまとまった睡眠を取りたいと考えているのであれば、寝る前に母乳をあげて、ミルクをあげてから寝たり。
睡眠の質は、身体的にも精神的にも影響してきますので、ママが1番辛いことが、睡眠不足であれば、どのスタイルが1番ストレスなく育児ができるのか、色々と試してみるといいと思います。
2021-12-06 14:38:00
無痛分娩のメリット・デメリット
久しぶりの投稿です。
今日は、無痛分娩についてお話ししたいと思います。
私も、多くのお産に携わって来ましたが、経腟分娩:無痛分娩=8:2
くらいの割合でしょうか。
近年になり、無痛分娩の数は増加傾向にあり、日本では全分娩(帝王切開含む)に対する無痛分娩の割合は6%程度です(2016年厚生労働省)。
欧米諸国では、イギリス20%、アメリカ40%、フランス60%と、国によって幅がありますが、それに比べても、日本の無痛分娩の割合は低いです。
国によって、人々の考え方が違ったり、社会保障の内容により、入院日数や分娩にかかる費用が違ったりと様々な理由があると思います。
では、どちらがいいのでしょうか?
特に初めてのお産では、お産がどのように進むのか、予測をつけるのは難しいです。
安産で、するっと産める方もいれば、
難産で、二日間ほど痛みに耐えながら産む方もいます。
考え方としてのアドバイスができるとすれば、
陣痛がどうしても怖い。産後も、サポートしてくれる人がいなくて、自分一人で頑張らないといけないなど、体力を温存しないと産後が心配な方などは、無痛分娩を考えても良いかもしれません。
日本では、痛みに耐えて、お産をするのが美学のような考え方が根付いていますよね。無痛分娩がまだ少なかった時代の方からすれば、あの痛みを耐え抜いてこそ、母親だと考えている方もいるかもしれません。もちろん、私は、全ての、陣痛を耐え抜いてきたお母さんたちを尊敬しています。
でも、手術をする場合、麻酔をかけないで手術をすることなど、現代においては考えられないですよね?
妊娠・出産は病気ではなく、自然な営みの中で行われていることです。
医療介入をする必要がないものに、介入をしなくても良いのではないか?
そう考える事も正解だと思います。
無痛分娩のメリットとしては、
・痛みが少なくなることで、痛みに対する恐怖感を取り除き、分娩にリラックスして臨むことができる
・体力を温存することで、産後の回復が早い
などがよく言われます。
デメリットとしては、
・麻酔に対する副作用が出ることがある(かゆみやしびれ、吐き気など)
・費用が高額になる(施設によって、プラス10〜20万ほど)
・陣痛が弱くなる可能性があり、子宮収縮薬や吸引分娩・鉗子分娩の頻度が増える
などが言われています。
考え方、感じ方は人それぞれです。
産み方に正解などありません。それぞれの方が、自分がよく考えた方法で、
自分なりの答えを出せれば、それでいいのです。
自分のお産について、お産後の生活について考えている時点で、みんな立派な母親です。
考えても、答えに迷うこともあるかもしれません。
そんな時は、専門家に相談して、アドバイスをもらいましょう。
個人的には、一人目で、本当に苦しんで、陣痛の恐怖で子供を産めないなどと思っている方には、無痛分娩をお勧めしたいです。
二人目からは、保険適応などになると良いのですが。。。
ただ、無痛分娩を行う施設は、しっかりと選ぶことをお勧めします。
無痛分娩の学会から、市民講座や無痛分娩の情報提供があります。
参考にしてみてくださいね。
2021-01-12 10:50:00
赤ちゃんのおむつかぶれと母乳の関係
「赤ちゃんのおむつかぶれが治らないから、母乳をあげる回数を減らしてミルクにするように小児科の先生に言われました。」
数日後に、乳腺炎になり、相談に。
ママにとって、赤ちゃんのおむつかぶれはとても神経質になりやすいところ。
見るからに痛そうだし、おむつが濡れるたびに、痛みで赤ちゃんも泣き出します。
赤ちゃんは未熟なので、腸内フローラが乱れてしまったり、母乳やミルクの飲み過ぎだったり、お腹が冷えていたり、赤ちゃんの便が緩くなる原因はさまざまです。
普段より、便の回数が増えて、下痢が続き、赤ちゃんもなんとなく体調が悪そうな場合は、小児科に相談してみましょう。
風邪や下痢を起こすようなウイルス感染だったり、下痢のために体重の増えが悪かったりする場合は、医師の指示に従って、治療を受けることをお勧めします。
特に、問題はないのだけど、下痢が多くて、オムツかぶれが起こる場合、腸内細菌を整えるためにお薬が処方される事もあります。少し、便が硬くなり、回数も減ると、お尻が便の刺激に触れる回数も少なくなり、治りやすくなります。
母乳は、本来、赤ちゃんの腸内フローラをコントロールしてくれるのですが、一時的に、悪玉菌が増えたり、おっぱいをよく飲むことで、飲み過ぎて消化不良になることはありますので、どうしても、母乳の回数を減らすときは、おっぱいが張ってきたら、搾乳をして緩和させるようにしましょう。また、搾りすぎてしまうと、よく母乳が出る方は、母乳が作られ過ぎてしまう事もあるため、適度に搾ることが大切です。
おっぱいが赤くなってきたり、硬い部分ができてきてりすると、乳腺炎になる可能性がありますので、そのときは、赤ちゃんによく飲んでもらいましょう。
私が、NICUに勤めていた頃は、未熟児と呼ばれる小さな赤ちゃんたちのオムツかぶれをよく経験しました。小さな赤ちゃんたちの皮膚は、とても繊細で、すぐに悪化してしまいます。
その頃からやっていた、おむつかぶれの根本的な対処法は、
・おむつが濡れたら早めに変える。
・市販のお尻拭きなどでゴシゴシと拭くのではなく、コットンをお湯で濡らして拭き取る、または、臀部浴を行う。そのあとはよく乾燥させる。
・ワセリンや油分を多く含むクリーム、亜鉛華単軟膏などを塗る。
・おむつが小さめの場合は、大きめのオムツに交換する
などです。
まずは、予防からですが、おうちで対処法を行なっても、オムツかぶれが治らない場合は、小児科を受診しましょう。カンジダなどの感染の可能性もあります。
2020-12-13 14:16:00
赤ちゃんのスキンケアについて
今日は、スキンケアの話をさせていただこうと思います。
というのも、この季節は、本当に乾燥しやすく、赤ちゃんにとって、乾燥は大敵だからです。
赤ちゃんは、ママの子宮の中で、胎脂という皮脂のようなものに皮膚を守られています。産まれてきてからは、様々な外的刺激に晒されますので、沐浴が始まったら、しっかりと保湿が必要になります。
皮膚には様々な役目がありますが、保護作用として
・外的刺激から守る
・化学物質、細菌・ウイルスなどから守る
・紫外線から守る
などが挙げられます。
特に、新生児の皮膚の厚さは成人の約半分ほどで、皮膚が脆く、水分量も少ないため容易に乾燥してしまい、正常な機能を保てなくなります。
赤ちゃんの皮脂は、産まれて2週間~1ヶ月くらいにピークになり、その後は徐々に減り始め、5~6ヵ月頃には人生で最も皮脂が少ない時期に入ります。その後、思春期まで、カサカサ期が続くのです。
ただ、保湿をすれば良いのではなく、赤ちゃんは、新陳代謝が活発なため、汗をかきやすいですし、授乳や少し吐いたりして、汚れやすいです。排泄も多く、色々な成分が湿疹や皮膚かぶれなどの原因となりますので、しっかりと洗浄して清潔を保ってから、保湿が必要になります。
沐浴の方法は色々ありますが、石鹸やシャンプーを使ったり、沐浴剤を使用するのもお勧めです。
よく、石鹸と沐浴剤はどちらがいいですか?と聞かれますが、私は、それぞれのいいとこどりをして、たまに石鹸で洗ってくださいと伝えることが多いです。
沐浴剤には、洗浄成分と保湿成分も入っているものが多く、忙しい日々や1人で沐浴する時には最適です。
しかし、洗浄力が石鹸に比べて弱いので、手や柔らかいタオルでしっかりと洗う必要があります。泡タイプの石鹸の場合は、泡をのせてクルクルと優しく洗いましょう。
よく見かけるのが、洗浄不足で、額や眉毛のところにカピカピとしたカサブタのようなものがついている赤ちゃん。皮脂が固まってしまっている場合は、無理にとらずに、ベビーオイルなどでふやかしてから少しずつとってあげましょう。
また、石鹸を使用した場合は、石鹸分が残っていると、皮膚トラブルが起きやすいので、しっかりとかかり湯をして洗い流しましょう。
昔は、冬は熱いお湯に入れるように教科書にも書いてありましたが、赤ちゃんの皮膚は薄く乾燥しやすいため、37~39度のお湯を準備し、沐浴をする場所を暖かくしてお風呂に入れましょう。
そして、お風呂上がりには、必ず保湿。油性の保湿剤を使用する場合は、ローションなどで水分補給してから蓋をする感じで塗ってあげましょう。
最近の研究では、スキンケアを行い、皮膚のバリア機能を正常に保つことが皮膚からの経皮感作を抑えてアレルギーの予防に役立つ事も言われています。
スキンケアを行なっても、湿疹や乾燥が長引く場合は、細菌感染している事もありますので、皮膚科・小児科に相談することをお勧めします。
女性も、30代後半から皮脂の分泌が減少してくるため、乾燥しやすくなりますよね。
スキンケアは、面倒だと感じる事もあると思いますので、習慣つけることが大事です。
お風呂上がりの保湿を習慣にできるといいですね。
出典元:持田ヘルスケア、赤ちゃんスキンケア最新情報
スキナベーブの使い方https://www.babycare-net.com/
2020-11-15 10:22:00
母乳と薬について
本日は、授乳と薬についてお話しします。
お産後に、体調を崩し、お薬を飲みたいことがありますよね。お薬によっては、母乳に移行するため、注意が必要なものがあります。
市販のお薬では、添付文章などに、ほとんどの場合、「授乳中はお控えください」「医師に相談してください」などと記載があります。飲んだ後に、「授乳中はダメって書いてある!どうしよう」なんてこともありますよね。
でも、薬によっては、本当は大丈夫だけど、よくわからないから、やめておきましょう。といった事もあります。ですので、「辛いけど、薬を飲むと母乳をあげられなくなるから、自分が耐えよう。」「薬を飲んじゃったから、母乳はやめておこう。」などと考える前に、きちんと調べて、対処法を知っていて欲しいのです。
薬剤がママの体内で代謝された後、母乳中に移行しやすいかは、いろいろな因子があります。
一つ一つは難しいですが、この薬、飲んでいいのかな?と思った時は、便利で安心できるサイトがあります。私も、ママたちから質問があった場合は、参考にさせていただいています。
・成育医療研究センター https://www.ncchd.go.jp/kusuri/news_med/druglist.html
・大分県「母乳と薬剤」研究会 http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf
・愛知県薬剤師会 https://www.achmc.pref.aichi.jp/sector/hoken/information/pdf/drugtaioutebikikaitei%20.pdf
悩む場合や、授乳は勧められないと書いてある薬を飲んでしまった場合、
お薬には半減期というものがあり、血中濃度が下がれば、母乳中への移行も低下します。通常、半減期の5倍の時間が経てば、体内から消失すると考えられます。血中濃度が下がっている場合、赤ちゃんに飲ませる前に、1回搾乳をして捨てるなどの対応はいりません。おっぱいが張って痛いなどの場合は、張りが軽くなる程度に搾乳しましょう。
かかりつけの病院に相談する場合も、母乳とお薬の関係に詳しい病院でなければ、授乳を控えてくださいと言われることがあります。自分は体調が悪いのに、授乳ができなくて、おっぱいは張るし、赤ちゃんは大泣きして、哺乳瓶でミルクも飲まない。そんなことにならないように、自分でも調べてから、医師や薬剤師、助産師に相談してみるといいかもしれません。
赤ちゃんに影響がある薬剤としては、ママが飲むと眠くなる薬(リン酸コデイン、抗うつ薬、抗不安薬など)、ママの持病などで代謝を抑える薬(甲状腺や脂質代謝のお薬、抗癌剤など)がありますので、妊娠中から、担当の医師に相談し、母乳をあげることができないのか、他のお薬に変更できないか、お薬を飲んだ後、時間を開けて授乳をするなどの対処法を相談してみましょう。
分娩後に通常使用されている鎮痛剤や抗生剤は、母乳中にはわずかな量しか移行せず、問題ないとされています。抗ヒスタミン剤などで、鎮静効果が強いものは避けたほうが良いでしょう。
無痛分娩や会陰切開で使用される麻酔薬も、ほとんどの場合、授乳に問題はなく、産後すぐは乳汁の分泌量も少ないため、問題ないと考えられています。
私が助産師新人時代は、ママは会陰切開の痛みや後陣痛があっても、ロキソニンは母乳に移行するからだめというのが常識でした。しかし、現在では、母乳中への移行量はほんのわずかで、影響が少ないため、産後の鎮痛剤にロキソニンが使用されるのが当たり前になっています。
今は、きちんとした研究が進んでおり、それが簡単にインターネットで閲覧できます。
情報源が確かな、信頼できるサイトから、情報を得て、ママも安心してお薬を飲み、授乳ができるといいですね。