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2020-10-08 22:45:00
母乳栄養とビタミンD
今回は、母乳栄養とビタミンDについてお話ししたいと思います。
私たちが摂取するビタミンには様々な種類、働きがありますが、ビタミンDは、骨の成長に必要なのはもちろん、多様な免疫作用があり、アレルギー疾患を予防する働きがあると考えられています。
ビタミンDは、食事からと紫外線により皮膚で合成されることで得られます。
栄養摂取が不足していた時代には、ビタミンD不足から、日光浴が推奨されていましたが、母子手帳からも、日光浴を勧める記載が消え、外気浴を勧める記載のみになりました。近年では、食事でのビタミンD摂取が可能になったこと、紫外線の有害性が叫ばれるようになったためです。現在は、生後1ヶ月頃から、庭やベランダで外の空気に触れることが推奨されています。
家の中にいても、日光に当たっているからいいのではないかと考えると思いますが、紫外線のUVBがビタミンDを合成するため、UVカットをするガラスではUVBは通過しないので、外に出て日陰で過ごすなど、多少の紫外線にあたることが必要になります。
また、紫外線の量は、季節や地域によっても違ってきますので、外気浴が推奨される時間は違ってきます。
赤ちゃんに必要な、ビタミンDは5μgですが、その量を生成するのに必要な日光照射時間は、7月の札幌で昼間は5分程、東京で3.5分、那覇だと3分。12月の札幌で80分、東京で22分、那覇では10分程になります。
だいぶ違いますね。
気候の良い季節だと、お散歩に出かけて、散歩をする中で日光を浴びたり、日陰で30分程過ごしたり、夏場だと、ベランダやお庭で少し日光浴をする程度で十分です。環境省のHPに詳しく紫外線との関係が記載されています。参考にしてみてください。
次に、食事からのビタミンD摂取ですが、皆さんは、普段気にしてビタミンDを摂取していますか?私の答えはNOです。ある調査では、妊娠後期の女性の血清ビタミンD濃度を測定し、その半数がビタミンD欠乏であったとの調査結果が出ていました。妊娠中のビタミンDは、子供にも影響することが報告されており、積極的に摂取し、適度な外気浴を行うことがお勧めです。
1日の必要摂取量は
・妊婦:7.0μg/日
・授乳婦:8.0μg/日
・成人の上限量は100μg/日
・0~11ヶ月児:5μg/日
・1~2歳児:2μg/日
・子供の上限量は25μg/日
ビタミンDは脂溶性のビタミンで、体内に貯蓄しますので、過剰摂取が続くと、様々な弊害がありますので、過剰摂取にも注意が必要です。
また、母乳中のビタミンDは、母親の摂取するビタミンDの量で変わってきます。母親が必要量を摂取し、必要な外気浴を行うことで、ビタミンDの不足を招くことはありませんが、食事で不足していると思う場合は、サプリメントや最近では液体のビタミンDも販売されています。直接、赤ちゃんに飲ませたり、乳頭に塗って授乳をしたりすることで、赤ちゃんでも摂取できるものもあります。私も、研修会でサンプルをいただきましたが、飲み物に入れて、ビタミンDを摂取するようになりました。
ビタミンDは、魚やキノコ類に多く含まれていて、授乳中に必要な量を摂取するためには、鮭だと1切れの1/3程度、サンマだと半分、生椎茸だと1個、エリンギ1本ほどです。
お味噌汁にキノコ類を入れてみたり、ご飯にしらす干しをかけて食べたり、少しの工夫でも摂取できそうですね。
2020-09-08 22:42:00
授乳姿勢について
本日は、授乳の方法、授乳姿勢や赤ちゃんの飲み方についてお話ししたいと思います。
おっぱいを出せば、勝手に赤ちゃんが吸ってくれる!
乳首が出ていないから、赤ちゃんが飲めないはず!
と、いろいろな思いを抱いていらっしゃると思います。
赤ちゃんには、吸啜反射という反射が備わっているので、口の中に突起物を入れれば、反射でチュパチュパと吸い始めるのは事実です。
でも、吸い方が浅かったり、授乳の体勢が不自然だと、うまく母乳を飲みとれていなかったり、乳首に傷がついたり、ママにも赤ちゃんにも悪影響が出ることがあります。
赤ちゃんが、上手に飲んでいて、ママも赤ちゃんも辛くなければ、どんな飲み方でも大丈夫です。
まずは、一般的な授乳姿勢についてお話しします。
①横抱き:母乳をあげる側の腕で赤ちゃんの体全体をホールドして(哺乳瓶であげるときもこのタイプ)、肘の部分に赤ちゃんの頭をのせます。赤ちゃんを抱いていない方の腕で乳房をCの形で掴み、赤ちゃんを乳房の方に引き寄せて、乳首を赤ちゃんのお口に入れます。このとき、赤ちゃんのお腹はママの方を向いており、頭と体は一直線になっています。
②交差横抱き:母乳をあげる側と反対の腕で、赤ちゃんの頭から体をホールドします。母乳をあがる側の腕で、乳房をCの形で掴み、赤ちゃんを引き寄せて、乳首を赤ちゃんのお口に入れます。
授乳に慣れないうちは、赤ちゃんを操作しやすいので、こちらの方がオススメです。赤ちゃんの頭を強く持ちすぎないようにしましょう。
③脇抱き(フットボール抱き):フットボールを脇に抱えるように、赤ちゃんを抱え、母乳をあげる側と反対側の手で、Cの形またはUの形に乳房を掴み、赤ちゃんのお口に乳首を入れます。
乳房の大きなママや、帝王切開で傷が痛いママにオススメです。
このほかにも、縦抱きや添い乳などもありますが、まずは、基本的な姿勢を覚えましょう。
授乳をしているママを訪ねると、何か居心地が悪そうに授乳をしていて、つま先だけついて膝を上げて授乳をしていたり、猫背になっていたり、、1日に何回も授乳をするので、無理な姿勢で授乳をしていると、腰痛や肩こり、腱鞘炎の原因になってしまいます。
まずは、椅子やベッドの背もたれにもたれかかり、背中をクッションや枕で支えて楽な姿勢を取りましょう。猫背にならないように、あぐらをかいたり、クッションなどで高さを調整して工夫してみましょう。
全ての姿勢に共通するのが、赤ちゃんの耳・肩・腰が一直線になり、首がねじれたり、うつむいたり、のけぞったりしないようにすることです。私たちも、何か飲むときに、顔を横に向けて飲むと、辛いですよね。赤ちゃんも一緒です。
また、授乳クッションなどに赤ちゃんを置いて、おっぱいを赤ちゃんに持っていこうとすると、猫背になり体勢が崩れがちです。赤ちゃんをママの方へ引き寄せるようにしましょう。引き寄せた後で、タオルなどを挟み、姿勢を固定すると良いでしょう。
次に、赤ちゃんの吸着についてです。
赤ちゃんの口が大きく開いていて、アヒル口のようになっている事、赤ちゃんの下あごが乳房に触れていることがポイントです。赤ちゃんは、鼻で呼吸をしており、授乳中、鼻を塞いでしまうと呼吸ができません。下あごが乳房に触れていると、赤ちゃんのお鼻が塞がれることはほとんどないです。
おっぱいを浅く吸っていると、吸われている間、乳首が痛くて苦痛になったり、一箇所だけに圧がかかって、切れたり、血豆ができたりします。吸って飲んでいるように見えても、うまく母乳を飲みとれていなかったりします。
授乳では、乳首だけを入れるのではなく、乳輪と呼ばれる乳頭の周りの部分も含ませます。指で乳首を掴むのではなく、おっぱい全体をホールドして、赤ちゃんの下唇が、乳頭から3~4cm下につくようなイメージです。
始めのうちは、赤ちゃんが上手に飲めているのか、助産師さんにみてもらうといいですね。
2020-08-26 22:57:00
ニップルシールドについて
今回は、ニップルシールドについてお話をさせていただきます。
ニップルシールドとは、うまく直接授乳ができない場合に使用される道具です。
たとえば、 おっぱいはよく出ているのに、赤ちゃんが乳首を捉えられなくて(乳首が短かったり、小さかったり)、飲めていない時や、赤ちゃんの哺乳力が弱くて、直接授乳では、十分に飲めていない時、などに使用されます。
様々な会社から販売されていて、色々な形や素材のものがありますが、 薄いシリコン製のものが、主流になっています。 ゴム製や、赤ちゃんの鼻を塞いでしまうようなものもありますので、使用する際は、専門家に相談をすることをお勧めします。
色々な支援を受けても、うまくいかない時に、メリット、デメリットの両方を理解した上で、使用するかを検討しましょう。 あくまでも決めるのはママ自身です。
「私の乳首、あんまり出ていないから、赤ちゃんが飲みにくそう…」 「なんで、吸ってくれないのかな…」 うまくいかない時に、悩んでしまうと思います。
でも、どんなおっぱいでも、ほとんどのおっぱいは、吸ってくれるようになります‼️
ただ、最初は、上手くいかないことや、手助けが必要かだったり、搾乳を必要とする事があるかも知れません。
ポイントは、 ママと赤ちゃんが、心地よく過ごせる事。 赤ちゃんが泣いて、おっぱいを吸わないと、気持ちも焦ってしまいますよね。
「自分が下手だから…」 「赤ちゃん、おっぱい嫌なのかな…」
赤ちゃんは、ママもおっぱいも大好きです。
ただ、少し体勢がきつかったり、お腹が空いていたり。 まずは、授乳の体勢(ポジショニング)、乳首の吸い方(ラッチオン)を見直してみましょう。 そして、少し難しいなと感じる時は、Babytimeをとりましょう。 赤ちゃんを胸に抱いて、ゆったりと過ごして、おっぱいが居心地の良い場所だと、赤ちゃんが安心できる環境を整えてあげましょう。
色々と頑張ってみたけど、うまくいかないとき、搾乳をして赤ちゃんにあげるのか、ニップルシールドを使用してみるのか、検討してみましょう。
メリットとしては、 ニップルシールドが有効であれば、搾乳や哺乳瓶を使用せずに、乳房のみで授乳できること。 直接授乳に戻すのに、他の方法に比べて、移行しやすいこと。 おっぱいを吸ってくれるので、ママの自信につながる事などです。
デメリットとしては、適切な支援を受けなければ、母乳量を減らしてしまったり、赤ちゃんも母親も、このデバイスに頼るようになる事です。 1週間くらい… と思って使用してみたら、3ヶ月手放せなかった…という方もいます。
ニップルシールドのサイズは、乳首の根本の大きさを測って、○mmとしている物もあれば、S/M/Lという物もあります。ネットにサイズ展開が載っていますので、正しいサイズのものを使用しましょう。乳首の大きさと、赤ちゃんのお口の大きさに合わせて、サイズ選びをします。
使い方としては、赤ちゃんのお口に入る物ですので、消毒を行なってから使用します。 使用する前に、熱湯に通すと、消毒もでき、柔らかくなって乳頭になじみやすいです。 使用後も、洗浄と乾燥をしっかりさせてください。 使用方法の動画をinstagramに載せていますので、良ければご覧ください。
2020-08-15 10:37:00
余ったミルクの使い方
久しぶりの投稿です。
暑い日が続き、外に出るのが危険なくらいですね。
前回、余ったミルクでパンを作りました。
余ったミルクは、離乳食で使用したり、シチューやパン、お菓子作りに使用できます。
cookpadなどにも、レシピは沢山載っていますので、参考にしてみてください。
ミルクパン材料
パウンドケーキ型 3個分
・強力粉 300g
・粉ミルクステック 2本
・水 200ml
・メープルシロップ 大さじ1
・砂糖 15g
・塩 3g
・ドライイースト 3g
・無塩バター 10g
作り方
①ホームベーカリーに全ての材料を入れてこねる。1次発酵まで完了させる。
②スケッパーを使用して、9等分にする。全体量を計って、きちんと等分すると均等に綺麗にできます。
③丸め直して、濡れ布巾を被せて、生地を20分休ませる
④パウンドケーキの型にクッキングシートを敷き、再度、丸め直した生地を3個ずつ入れる
⑤40度で45分、二次発酵させる。2倍の大きさになったら、強力粉を軽く振る。
⑥170度で20〜25分焼く。
ほんわりとした甘さで、子供ももぐもぐ食べます。
2020-07-26 17:33:00
母乳の出を良くするには?
以前に、母乳のでる仕組みについてお話ししたと思いますが、今日は、母乳の出を良くするポイントについてお話ししようと思います。
母乳を作るホルモンは、お産後に何もしないと、妊娠前の値に下がってしまいます。
赤ちゃんがおっぱいを吸う、または、乳頭を刺激することにより、ホルモン値が上昇して、3時間ほど経つとまた下がってきます。
ですので、3時間ほどで授乳を繰り返すと、このホルモンの基礎値を上げることでき、ホルモンに対する感度(受容体の数が増加)を上昇させ、母乳の産生能力を高めてくれるのです。
このホルモンに大きく支配されるのは、産後10日目くらいまでですので、赤ちゃんが1時間、2時間しか寝なくてきついと思いますが、こまめに授乳をしていたり、直接あげられない場合は、3〜4時間でこまめに搾乳していると、母乳の量が増えるようになります。
産後10日を過ぎてくると、今度は、母乳を外に出した分だけ、作ろうとするシステムにシフトしてきます。
赤ちゃんの飲む量が増えると、母乳量も増えてきます。
母乳中には、母乳産生を抑制するタンパク質も含まれており、母乳が乳房内に溜まり、その物質の濃度が上昇すると、乳汁産生を抑制してしまいます。
赤ちゃんの哺乳力が弱かったり、直接だとうまく飲めなかったりする場合には、搾乳も取り入れて、母乳を外に出す事をしてみると良いでしょう。
また、ハーブティーや食事、マッサージで、母乳が出るようになるなど、様々な事を耳にすると思います。「○○をすると、必ずおっぱい出るようになる!」と言う保証はありませんが、私がお勧めしているのは、循環を良くすることと、できるだけストレスを溜めないことです。
授乳の前に、温かくしたタオルなどで、おっぱい全体を温めたり、肩や首回りの運動・マッサージをするのもお勧めです。
身体の中の血液の流れを良くしてくれるハーブティーや食べ物も、良いでしょう。私たちは、祖先から受け継いだ消化酵素をもっていて、地のものを食べて、消化吸収し、身体を構成しています。私はよく、土の下で育つ野菜(根菜類)を、お味噌汁にたっぷりといれて、摂ることをお勧めしています。食事やハーブティについては、また、詳しくお話ししますね。
まとめると、
・産後1〜2週間は、頻繁に授乳をする
(最低でも8回/日)
・赤ちゃんが、母乳をうまく飲みとれていない場合は、搾乳をする
・授乳前に首や肩をマッサージする、温める
・バランスのとれた食事と、適度な水分補給
・ママ以外ができることは家族に任せて、できる時に休息をとる
・無理はしないで、困った時は、専門家に相談!!
母乳、足りないのかな?と、思い、ミルクを沢山足してしまうと、赤ちゃんがおっぱいをあまり飲まなくなり、授乳の回数が減っていき、母乳の量が増えなくなります。足りないのかな?と、悩む時は、一度、病院や助産師さんに相談して、赤ちゃんの成長やママのおっぱいの状態をみてもらうと良いですね☺️