インフォメーション
2020-07-19 10:19:00
母乳、足りてるの?
母乳の出は、本当に、人それぞれです。
何も悩むことなく、溢れるように出る方もいれば、いつも、母乳の出が悪いと悩んでいる方もいます。
悩みすぎて、「自分のおっぱいは出ない」と、母乳をやめてしまう方もいます。
でも、私たち哺乳類は、量は違えど、みんな、母乳を作る能力があります。ホルモンの病気だったり、手術をしている方では、本当にでない方もいますので、かかりつけの病院や助産師さんに相談をしてみましょう。
以前にもお話ししましたが、母乳は妊娠中から作られており、分娩後に、胎盤が外に出ることによって、分泌が始まります。
ママ達は、赤ちゃんを産んで、すぐに母乳が沢山出ると思っている方も多いですが、産後すぐには、平均でも1回の授乳で1~5cc程の分泌しかありません。2~3日経つと、少しずつ分泌量が増えて、病院を退院する頃には40~50cc程出るようになります。もちろん個人差はありますので、退院する頃にも、分泌量が少なかったり、出過ぎて困るようなママもいます。
赤ちゃんの胃も、最初はさくらんぼくらいの大きさしかありません。1ヶ月程かけて、卵くらいの大きさになっていきます。ですので、少量のんで、寝て、すぐにお腹が空いて、また飲んで、を繰り返しているのです。
あまりまとまって寝てくれないから、母乳が足りていないのかな?と思うかもしれませんが、赤ちゃんが泣く理由は、お腹が空いているからというだけではありません。
確かに、ミルクを足すと、赤ちゃんは良く寝てくれます。それは、母乳に比べて、ミルクの消化の時間が倍の時間かかるからです。
そして、哺乳瓶だと10分くらいで飲むのに、母乳だと30分以上かかるから、母乳の出が悪いのかなと思う方もいますが、母乳は哺乳瓶の8倍ほどの力が必要だとも言われています。赤ちゃんも、ゆっくりゆっくり飲んでいるのですね。
母乳が足りているかの目安として良く使われるのが、赤ちゃんのうんちやおしっこの回数です。
1日に、うんちを1回以上、薄い色のおしっこを6回以上しているようであれば、大丈夫でしょう。うんちが出ていない場合、お腹のマッサージや綿棒浣腸をしてみて、うんちが出てくれれば、便秘かもしれません。
排泄の回数が少なく、赤ちゃんが寝ることがないくらいにずっと泣いて、おっぱいを欲しがっている場合は、赤ちゃんに必要な量の母乳が、まだ足りていない、または、母乳は出ているのに、赤ちゃんがうまく飲みとれていない事もありますので、ミルクか搾乳を足してあげましょう。
ミルクを足すと、寝てくれる安心感で、ミルクの量が増えていき、母乳の量が少なくなってくる方もいますので、悩む場合は、一度、病院や助産師さんに相談をしてみましょう。
2020-07-05 23:52:00
母乳はどれくらいの時間あげたらいいですか?
「おっぱいは、どれくらいの時間、吸わせていたらいいですか?」
「はずそうとすると、また吸い始めます。」
おっぱいの時間は、ママと赤ちゃんにとって、とても大切な時間です。
赤ちゃんが満足するまで、好きなだけ、吸わせてください。
このように返答したいものですが、ママの時間も限られています。
乳首も吸われすぎて痛くなってくる事もあります。
母乳外来をしていると、ママ達から、
「左右5分ずつ吸わせて、まだ飲みそうだったらまた5分ずつ吸わせるように言われました」
「30分も吸わせているのは母乳が足りないとからだと言われました」
という意見をよく耳にします。
専門家の意見、ネットにも様々な事が書いてあります。
最近では、スマホのアプリでタイマーと睨めっこしながら、授乳をしているママをよく見かけます。
ママと赤ちゃんの状態によって違うので、何分吸わせるのが正解という事はありません。
赤ちゃんも、サクッと飲んでしまうこともあれば、ママに甘えながら、ゆっくりと飲んでいる時もあります。
できれば、時計と睨めっこするのではなく、赤ちゃんの様子を見ながら、
「休憩が多くなってきたな」「満足そうな顔になってきたな」を終了の合図にしてもらえればなと思います。
飲み終わったかな?の時に、赤ちゃんの口から乳首を離そうとするとまた、吸い始めるということもしばしばあります。赤ちゃんには、吸啜反射というものがあるので、刺激が加わると、また吸い始めます。ですので、口角にママの小指を入れて、そっと離してあげてください。
それでも、やはり、「5分5分」でという神話があるのは、ママたちが、目安を知ると安心するということと、生まれたての赤ちゃんは、まだ哺乳力が弱くて、片方のおっぱいを飲んで寝てしまうということがあるからなのかなと考えたりします。赤ちゃんは、吸い始めに沢山の量を飲むため、15分で授乳を終える赤ちゃんであれば、最初の5分程で7割くらいをの量を飲んでいると言われています。では、その後は、何をしているのかというと、赤ちゃんには、吸啜欲があるので、チュパチュパすることで、欲求が満たされ(ママの愛情を飲んでるのですね)、また、後乳と呼ばれる脂肪分に富んだ、赤ちゃんの成長に欠かせない母乳を、味わいながら飲んでいるのです。5分と言われたから、5分で止めるのではなくて、できれば、最後の後乳と呼ばれる母乳まで、しっかり与えてあげてください。
休む暇なく授乳をしていて、赤ちゃんが全く寝ない、おしっこやウンチが少ないなどがあれば、赤ちゃんは必要な量の母乳を飲めていない可能性もありますので、専門家に相談してみましょう。
2020-06-25 21:12:00
ケーキを食べると乳腺炎になりますか?
「ケーキを食べると、乳腺炎になりますか?」
「乳腺炎になったら、お粥にした方がいいんですか?」
「乳腺炎になったので、肉を食べないように言われました。」
など、食べ物と母乳、乳腺炎に関しての質問は多いです。
私も、乳腺炎の手当てをさせていただいている時は、最近の出来事を必ず聞きます。
食べ物の事も聞きますが、実は、科学的には、食べ物が原因で乳腺が詰まる事はないと考えられています。
食べたものは、胃で消化され、様々な過程を経て血液となり、その血液が乳腺で母乳となります。食べたものから、様々な栄養素が母乳に移行しますし、母乳の成分も変わってきます。ですが、ケーキの生クリームの脂肪そのものが、乳腺を詰まらせることはありません。
乳腺炎の原因の多くは、うったい性乳腺炎と言って、母乳が溜まりすぎて、母乳を外に運ぶ乳管という部分が詰まってくることが原因です。一番の治療法は、赤ちゃんにおっぱいをよく飲んでもらう事です。
それでも、ケーキが原因だとよく言われるのは、
たとえば、赤ちゃんが産まれて、お友達や親戚が赤ちゃんを見に来てくれる。
そんな時は、いつもならお昼寝したり、授乳をするのに、ママも少し無理をして、十分な休息がとれなかったり、授乳のタイミングがズレて、おっぱいを飲ませられなかったりすると思います。そこに、手土産で頂いたお菓子やケーキ、果物をついつい沢山食べてしまった。翌日に、おっぱいが張って辛い思いをして、ケーキ食べたからだ…と、ケーキのせいにする。という流れなのかなと考えます。
他には、季節の変わり目だったり、少しストレスを抱えていたり、赤ちゃんが遊び飲みをしていて、十分飲みとれていなかったなど、何かしら、生活に変化があった時に起きやすいです。
よく、食事指導が行われますが、長年、おっぱいのケアをしている助産師さんは、食べ物で、おっぱいの質が変わると話します。もちろん、私たちは、食べた物を消化し、体に合う、合わないもあります。母乳の組成に少し変化はありますが、無理に食事制限をする必要はありません。
消化に良いものを、バランスよく摂取して、赤ちゃんによく飲んでもらうと、大体の乳房の張りはとれます。
母乳が溜まっていると、塩分の濃度が高くなるため、赤ちゃんには、苦味として認識されます。赤ちゃんが飲まない、嫌がるときは、搾乳をして、溜まっている母乳を出してあげましょう。
乳房が赤く腫れ上がり、硬くなり、熱をもち、赤ちゃんに飲んでもらっても、搾乳をしても、24時間以上同じ症状が続く場合は、地域の助産師さんや、病院に相談をしましょう。
放っておいた場合に、ママの免疫力が低下していたりすると、菌が繁殖し、細菌性の乳腺炎を発症することがあります。
無理はせず、治らない場合は、相談をしましょう。
私も、オンラインでご相談を受けていますよ。
これから夏になり、脱水になると、乳腺も詰まりやすくなりますので、脱水予防に努めましょう!
2020-06-13 17:34:00
母乳って、どうやって作られるの?
母乳はどうやって作られるの?
今日は、母乳のでる仕組みについてお話ししようと思います。
母乳は、ママの血液からできています。血液が乳腺と呼ばれる組織で、酵素により変化し、白い母乳となります。
母乳の産生は、妊娠16週頃から始まっていて、妊娠中は、胎盤から出るホルモンによって、母乳産生が抑えられています。赤ちゃんが産まれて、胎盤が外に出ると、プロラクチンというホルモンが働き始め、母乳がでる仕組みになっています。
もし、早産で出産をしても、母乳を出す準備は整っているので、ちゃんと母乳は出ます。ご安心ください。
妊娠後期になると、少し母乳が出る人もいますが、母乳を作る準備をしているところですので、問題ありません。
そして、このホルモンは、お産後に頻回に授乳をすることで、分泌が上昇し、よりたくさんの母乳を作るように働きます。逆に、分娩後に何もしないと、血中の濃度が下がっていき、1〜3週間ほどで妊娠前の状態に戻ってしまいます。
ですので、お産が終わったら、ママも疲れているとは思いますが、おっぱいを吸わせてあげてください。
また、赤ちゃんがおっぱいを吸うと、乳腺から母乳を外に出すホルモン(オキシトシン)が出ます。オキシトシンは、子宮の収縮を促したり、リラックス効果があります。
もし、お産の後に、赤ちゃんと離れ離れになって、授乳ができなくても、搾乳をすることで、ホルモン値は上昇しますので、搾乳をすると良いでしょう。
このように、おっぱいは、ホルモンが深く関わっていて、ストレスや肥満、喫煙により低下することがわかっています。
授乳をするときは、できるだけ落ち着いた環境で、リラックスして、赤ちゃんと肌と肌の触れ合いを楽しめるといいですね。
2020-06-05 22:45:00
母乳って、ミルクよりいいですか?(赤ちゃん編)
母乳は、赤ちゃんにとっていいものであるという、漠然とした認識はあると思います。
では、具体的に、どのようにいいのでしょう?
母乳育児を続けると、赤ちゃんの様々な病気の発症率を下げる効果があります。
母乳は、口から飲んで、胃・腸を通り、排泄されます。そして、たまに、ゲップと一緒に吐いたりして、少し鼻や気道の粘膜にもつきます。
母乳を3ヵ月以上飲んでいる赤ちゃんは中耳炎や、喘息、上下気道・気管支炎などの病気にかかる率が低下すると報告されています。
腸の病気や糖尿病、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを低下させ、母乳で腸をコーティングするので、アレルギーの発症リスクも下がり、良好な腸内細菌層を育ててくれます。(アメリカ小児科学会発表)
病気の他には、IQとの関連性も報告されています。オーストラリアの研究では、6ヶ月以上母乳育児を行った方が、特に言語に関するIQが高いとの報告が上がっています。
また、睡眠にも影響すると言われていて、子供の睡眠は、健康・認知能力にも影響しますので、とても重要です。これは、母乳中のDHAが関わっていると考えられていて、DHAはメラトニンと呼ばれる睡眠ホルモンを調整しています。夜間に最も高くなり、赤ちゃんの睡眠リズムを作っていくのです。ちなみに、母乳中のDHAの濃度は、母親が摂取するDHAの量に依存していて、後乳と呼ばれる最後の方の母乳に多く含まれます。母乳の成分については、また詳しく書きますね。
最近では、メタボの予防にも効果があるという研究結果もあります。
肥満や、糖尿病の予防効果があるのです。
あれ?うちの子は、母乳飲みすぎて、太り過ぎって言われたな…と、思う方もいるかもしれませんが、母乳を飲んで、太りすぎた場合でも、赤ちゃんがハイハイしたり、歩いたりしはじめたら、標準の体重に戻っていく事が多いです。
哺乳瓶で飲む場合は、赤ちゃんは飲む量をコントロールできにくいですが、母乳では、赤ちゃんは必要なカロリーを摂取すると、後は、チュパチュパと遊び飲みをしたり、自分からおっぱいをはなしたりします。
病気にならないわけではなく、確率が少なかったという報告ですので、絶対ではありませんが、
ママが無理しない程度に、できるだけ、少しでも、母乳を与えてあげてください。
参考文献「母乳育児学」